『うさぎドロップ』の考察
僕は『うさぎドロップ』をアニメから入った勢で、この前漫画も読んだんだけど、どっちも面白かった。
で、前に漫画の感想を書いたんだけど、今回はもっと深掘りした考察をしていこうと思う。
ちなみに前の感想記事はこれ。
[st-card myclass="" id=799 label="" pc_height="" name="" bgcolor="" color="" fontawesome="" readmore="on"]考察ってどうしてもネタバレ含むじゃんか。だから感想の記事で書けなかったんだよね。
でも今回はネタバレしても良いって事で、じゃんじゃん考察していくぜ。
・りんはなぜダイキチを選んだのか?
いきなり核心からいくけど、ここが『うさぎドロップ』で一番面白いところだよね。
アニメだけ見た人はさ、りんは絶対コウキとくっつくって思うじゃんか。
実際、第二部の前半もりんとコウキの揺れ動きもあったし。
りん「まだアカリ先輩と会ってるの?」
なんて言ったりして。
あのときはさ、りんはまだコウキのこと好きだったよね。
でね、まあ色々とあって、最終的に二人は良い感じになるわけ。
でも発覚しちゃうんだよね。すごい悪いタイミングで発覚しちゃうんだよね。アカリ先輩の妊娠が。
[st-kaiwa1]あ~何やってんだよコウキ~![/st-kaiwa1]ってほんと思ったね。
まあ結果的にそれはアカリ先輩の嘘だった訳だけど、それを聞いたりんの精神はずたぼろ。
りんの気持ちがコウキから離れた決定的な瞬間になっちゃったわけだ。
で、そこからりんは気づき始めるんだよね、ダイキチへの隠れた気持ちに。
しかもその気持ちは40代のビール腹かのように、どんどん膨らんでいく。
でもね、僕はここで思うんだ。
[st-kaiwa2]これってコウキを失った寂しさをダイキチで補ってんじゃねーの?[/st-kaiwa2]ってね。
実はりんって、お父さん(ダイキチのじいちゃん)を失って以来、何にも失ってないんだよね。
でもここに来て、コウキを(精神的に)失ってすごい喪失感だったと思うんだ。
喪失っていうトラウマの再現だよね。
だから多分、りんの胸中は計り知れない寂しさに襲われてたと思う。
りんには友達もいないし、お父さんは死んだし、正子さん(りんのお母さん)も家庭を持ってるし、唯一親しかったコウキもいなくなった。
つまり、りんは世界で独りぼっちになったわけだ。またあの葬式の時に逆戻り。
どう考えても辛いよね。
でも、ただ一つだけ違うことがある。
それはダイキチというずっと自分に尽くしてくれた男がいること。
これはもうすがっちゃうよね。
しかも、正子さんは爺フェチだったわけで、その遺伝子がりんに受け継がれている可能性は高い。
ダイキチは射程範囲なわけだ。
多分りんは、一般的な「愛」とか「好き」とかの感情でダイキチを想っていない。
執着心。もう一人になりたくないとか、寂しいとか、怖いとか。そんなもっと深くて重たい感情が、りんをそうさせているように見えた。
実際、りんが正子さんにダイキチへの想いを伝える場面で、
前に好きだった人は、もっとほわんとした感じ、今回はもっと強い感情
みたいなことを言ってたよね。
とてもメンヘラチックなものを感じる(僕だけ?笑)。
なんにせよ僕の結論は、コウキに対する喪失感がりんを必死にさせたってところかな。
ほら、「ウサギって寂しいと死ぬ」とか言うじゃん?
『うさぎドロップ』ってタイトルもそういうところから取ってんじゃないの?
きっときれいな愛の形ではないよね。個人的にはそういうの好きだけど。
・りんの父親は誰か?
りんの父親ってさ、結局宗一さん(ダイキチのじいちゃん)ではなかったじゃんか。
[st-kaiwa2]じゃあ誰だよ[/st-kaiwa2]って思うよね。
正子さんが母親なのは、彼女の言動からして間違いない。
で、物語的にりんはダイキチと結婚してゆくゆくは子どもも産むみたいなことだった。
だから、りんの父親はダイキチの親族ではないことも間違いない(直系血族は結婚も出来ないし子どもも産めない)。
でも宗一は、りんを引き受けるほど正子さんとの信頼関係を築いていた。
そして正子さんは爺フェチ。
こんなところから、父親は宗一の爺さん友達あたりが妥当かな?
たとえば、
- 宗一の爺さん友達(A爺)が正子さんと関係を持った。
- でも、A爺はりんがまだ正子さんのお腹にいるときに死んでしまった。
- A爺と仲の良かった宗一が、代わりに正子さんとりんを引き受けた。
- 正子さんは宗一の優しさに甘えてりんを捨ててしまった。
みたいな。
ダイキチのいとこの春子が家出してきた場面で、ダイキチの家にコウキが上がり込んでくるのを見てさ、
もう、ダイちゃんったら面倒見良すぎ
って言ってるじゃんか。
多分それは、宗一さんが面倒見良すぎだったことを表してるんだろうね。
・りんどう・キンモクセイ・フウセンカズラが意味するもの
・りんどう
りんどうはりんと宗一が好きな花なんだけど、調べてみると面白いことが分かった。
むかし、役小角(えんのおづの)って人が道を歩いていると、一匹のウサギを見つけた。
そのウサギはりんどうの花をなめていて、それをどうするのかと聞いたら、「病気の主人に持っていく」と言った。
役小角はこれを何かのお告げだと想い、病人にりんどうの根を飲ませた。
すると病人はみるみるうちに回復した。みたいな伝説があるらしい。
まあ宗一は回復しなかったけど、うさぎ(りん)の健気さは重なるところがあるね。
りんどうの花言葉は、
- 病気に打ち勝つ
- あなたの悲しみに寄り添う
- 寂しい愛情
など。
第一部のりんとか宗一に重なるところがある。
・キンモクセイ
その次に物語に出てくるのはキンモクセイ。良い匂いだよね。
りんが産まれたときに植えられた木だ。
ちなみにダイキチやダイキチの母も同じように木を植えてもらっている。
キンモクセイの花言葉は、
- 初恋
これもコウキとの関係を表している。
・フウセンカズラ
それから、その次に出てくるのはフウセンカズラ。
タネがハートの形をしている。みんなも小さいときに触ったことあるんじゃないの?
花言葉は、
- あなたと一緒に飛び立ちたい
うん、ダイキチと一緒に飛び立ったね、想像の斜め上に。
ってな感じで、作中の草花もしっかり物語とリンクしていた。
ひねりは無かったけど、まあ裏の意味があるような作品でもないしね。
最後だけど、実写もあるらしいね
どうやら『うさぎドロップ』は実写もあるらしいね。
まあそれはいいや。
なんだろう、『信長協奏曲』のときはすっごい観たくなったのにな。
出演者とかはまだ知らないから、多分作品そのものに何かあるんだろうね。
とにかく漫画・アニメの『うさぎドロップ』は面白かった。
アニメでも第二部したらいいのに。
ネットで「うさぎドロップの親近相姦キモい」みたいな意見あるからしないのかな。
多分そういうことを言う人は野性的な感性が鋭いんだろうね。遺伝子的に良くないもんね。
ただ、『うさぎドロップ』は近親相姦ではないからね。
かつて親子という形を取っていたとしても、遺伝子的に問題ないんだったらオーケーじゃない?
ってかむしろダイキチがずっと親を演じてたのがすごいよ(笑)
だってりんと血が繋がっていないこと最初から知ってたわけでしょ?まるっきり他人じゃんか。
えらい。ダイキチほんとえらい。だからキモいとか言っちゃダメだよ。
40代のおじさんそういう言葉が一番傷つくからね。知らないけど。
まあ個人的には第二部も期待してますってとこで、今回は終わろうかな。
ならまた!