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『有害無罪玩具』を読んだ
ひょんなことから『有罪無害玩具』を読んだ。
そのへんの詳しいことはこっちに書いたから知りたい人は読んで欲しい。
[st-card myclass="" id=862 label="" pc_height="" name="" bgcolor="" color="" fontawesome="" readmore="on"]『有害無罪玩具』は、哲学で問われているような問題をSF的な物語に落とし込んだ作品。
- 「有罪無害玩具」
- 「虚数時間の遊び」
- 「金魚の人魚は人魚の金魚」
- 「盆に復水 盆に帰らず」
という4つの短編が一冊の漫画に収められている。
小難しい問題をポップに紹介しているといった印象を受けた。
具体的なことも知りたいと思うから、それぞれの話の内容も少しだけ覗いてみよう。
『有害無罪玩具』の各話
1.「有害無罪玩具」は哲学がテーマ
この話は、有害だけど無罪のおもちゃを収集している施設に、主人公が見学に行くお話。
「パラレルワールドが見られる鏡」や「人によって見え方が違う人形」など、変な玩具がたくさんある。
これらの玩具は、哲学で議論されている問題を紹介するアイテムとして機能している。
たとえば、「人によって見え方が違う人形」は、カントの提唱した「人間は物自体には到達できない」という哲学議論がそのまま当てはまる。
また、「脳の全情報をスキャンする小箱」は「この世界が現実である可能性は10億分の1」だと言った哲学者、ニック・ボストロム氏の意見と問題をもつ。
このような哲学の問題がさりげなく突き出される。
そう、ほんとにさりげなく。いい男が気づかないうちにレジ済ませてたみたいな感じだ。
難しい話だと構えてしまう人も少なくないけど、この漫画はそういった「さりげなさ」が秀逸だと思う。
2.「虚数時間の遊び」は時間がテーマ
2つ目の物語は、「時間」をテーマにした作品だ。
時が止まった世界に生きる主人公は、老いることなく、また死ぬこともなく過ごしている。
世界中のノートとペンを使い果たし、全国のあらゆる滑り台もすべった。
もうやることなんてない。
「ずっとこの瞬間が続けば良いのに」って思うことがたまにあるけど(何ってないけど幸せなときとか)、実際に時が止まってその瞬間が続いてしまったらほんとうに暇なんだぜ!って感じだ。
万年が過ぎ臆年が過ぎても、時が動き出す気配はない。
それでも停止した世界で彼女は生き続ける。ちょっと恐ろしい世界観の作品。
3.「金魚の人魚は人魚の金魚」は永遠の命がテーマ
人間は古来から「永遠の命」を求めてきた。秦の始皇帝など涙ぐましいほどだ。
もちろん昔の話だけではない。現代でも医学の究極的な目的は人間の不老不死にあるだろう。
だけど、本当に不老不死は良いことなのだろうか?
「金魚の人魚は人魚の金魚」はそんなことを問いかけてくる(タイトルのややこしさはピカイチだ)。
主人公は金魚の人魚。
金魚だから、石ころを口に含んでは吐き、含んでは吐いて過ごしている。個人的にはその様子がとても好き。
金魚の人魚は金魚だから感情というものがないのだけど、そこがかえって魅力的な物語だった。
一番ボリュームがあるのもこの作品。
4.「盆に復水 盆に帰らず」は時間旅行と愛がテーマ
「覆水盆に返らず」ということわざからきていると思われるタイトル。
もとの言葉は、起こってしまったことは元には戻らないという意味。
ここでは時間の不可逆性をほのめかしている。
最もSF色が強いのはこの作品だ。
と同時に、愛とか優しさとかそういったものが前面に出ている柔らかい物語だった。
『有害無罪玩具』はボリュームたっぷり
各話をまとめると、
- 哲学
- 時間の停止
- 不老不死
- 時空間の移動
がテーマになっている。
個人的に好きだったのは「金魚の人魚は人魚の金魚」の話。
ボリュームたっぷりの漫画だった。表紙も洒落てて良い。